わぁ趣味でプログラミングしている。Javaで簡単なWebアプリを作ったり、paizaで遊んでみたり、Webサイトを作ってみたり。
Pythonを使ってスクレイピングをし、ネット掲載の商品の付け合わせツールも作っている。
そんなわぁに、よくExcelの仕事が降り注いでくる。いや雑用か。
「こんな集計表を作ってほしい」
「この表をもっと使いやすくしてほしい」
まぁ引き受けますよ。だって簡単だし。
なんならGASとかVBAでもっと簡単にできますよっと。メンテナンスが面倒なのでやらないけど。
そしてある日、いつものようにExcelの雑用が飛んできて、手を付けたら大いに絶望したので報告がてら書いていく。
その依頼は、突然に…
ある日の午後、社長から軽〜いノリでひとこと。
「あのExcelの売上集計、Googleスプレッドシートにしてくれない?」
最近「Googleスプレッドシート」を覚えた社長が、調子に乗って使おうとする。
なぜ覚えたかというと、
ある店舗が人出不足というか能力不足で、代わりにわぁがその店舗の稼働率とか売り上げの集計とかをスプレッドシートで集計していて、毎日社長が聞いてくるのがうざったかったので、社長に共有して勝手に見てもらうようにした。
それで社長が「なんて便利なんだ!」ってなって、なんでもかんでもスプレッドシート化したくなってしまったのだ。
まあたしかに、リアルタイムでどこでも見られるし、確かに便利だ。
Excelをスプレッドシート化するのは簡単だし、関数もそのままイケるし、
「わかりました〜」と、適当に返事して作業開始。
……しかし、これが地獄と絶望の入口だった。
すぐに終わるはずだったのに…
やることはいつものとっても簡単。
まずは、GoogleドライブにExcelファイルをアップロード。
そして「ファイル」>「Googleスプレッドシートとして保存」。これでほぼ終了。
「念のため関数チェックしておくか」
SUM、VLOOKUP、IF関数…。簡単な話。
「とりあえずExcelの中身をそのまま再現すればいいだろ」
と、前任者が作ったExcelファイルを開いて確認。
ん?なんか変だな……
売上金額の合計、ちょっと多くない?
粗利率がやけに高い日がある。
なんか…違和感。
一応、元のExcelの数式も確認しておこうと、F2キーで式を覗いてみる。
「=SUM(B2:B15)」
あれ? データはB2からB20まであるはずなのに、範囲が切れてる?
これ、5件分の売上が集計されてないじゃん。
他にも、
「=IF(A2=“●●店”,C2,0)」
って書いてあるけど、C列には金額がなくて、D列に金額がある。
参照先間違ってるやん。
数式の地雷だらけ
これはもう、手作業の産物だった。
見た目はちゃんとしてる。でも中身は”そんど”。※津軽弁でめちゃくちゃって意味。
- 関数の範囲ミス
- 書式が文字列扱いになってて数値計算できてない
- コピーした時に、絶対参照漏れで数式がズレてる
- 謎の手打ちデータが混入
- シートが3つに分かれてるのに、それぞれで微妙に定義が違う
- 売上金額だけ税込
あるあるが、全部詰まってた。
そして最も恐ろしいのは、これを見て「OK」としていた上司・幹部たちが誰も気づいていなかったこと。
経営陣、大丈夫なのか?
一番の問題は、偉方(えらがた)が間違っている数字にひとつも疑問を持たなかったことだ。
数字は正しい前提。
Excelは信用できる前提。
でも実際は、根っこから狂ってた。
その数字で、会議して、報告して、ボーナスまで決めてた。
……ゾッとしませんか?
スプレッドシートで暴かれる真実
Googleスプレッドシートに変えることの最大のメリット。
それは、共有されること。
みんなが見る。
だから、ごまかしが効かない。
誰かが「この数字、合ってます?」と気づいた時点で、全部バレる。
だから、こっちも本気で見直すしかない。
「とりあえず同じものを再現」で済ませようとしたわぁが甘かった。
移行じゃなくて、棚卸しだった
結果的に、Googleスプレッドシート化は
“データの棚卸し”プロジェクトになった。
数字の意味、関数の意図、更新のタイミング、元データの構造…。
「そもそもこの数値、どこから来てるんですか?」
「システム自体のデータもたぶん見直しが必要です」
「売上だけ税込なんですが、意味がわかりません」
「粗利もめちゃめちゃでどうやって資金繰りやら計画やらを作ってるんですか」
「この表をもとにしているデータの見直しもさせてください」
なんだか怒りと悲しみが交錯した。
…気づいたら、システムの裏側から運用ルールまで再構築してた。
まとめ:透明化は痛みを伴う
「スプレッドシートにしてくれ」
たったそれだけの依頼が、
Excelという闇を暴く仕事になるとは思ってなかった。
でも、たぶんこれでよかったんだと思う。
なぜなら、スプレッドシートは“見える化”の象徴だから。
そして、見えるようにすると、隠れていた問題も出てくる。
透明化には痛みが伴う。
でもそれを通らないと、会社の数字はいつまでも“なんとなく”で動いてしまう。
おまけ:社長の一言
「なんか今回のスプレッドシート、わかりやすくなったね」
…いや、それ俺の苦労の上に成り立ってるからな?
Excelの地雷、全部俺が踏んで処理したんですけど。
でもなんやかんや真面目に働いている。
この会社の腐った部分を間違っている部分を正してやろうとすら思っている。
やっぱり、わぁは社畜だ。